未経験からのIT転職、最初の3ヶ月でやるべきこと【現役の課長が解説】
「入れた」と「続けられる」は、別の話だ
まず、正直に言っておく。IT未経験で「内定が出た」「派遣の現場が決まった」というのは、ゴールじゃない。入り口に立っただけだ。マラソンでいえば、スタートラインに並んだ状態。ここから走るのは、これからだ。
俺は現場で、新しく入ってきた未経験の人を、何人も見てきた。最初はみんな、やる気がある。でも、半年たつと、けっこうな数が消えている。理由はだいたい、この3つだ。
- 言葉がわからなくて、ついていけない。先輩が「そのサーバ、再起動かけといて」と言う。何のことか1ミリもわからない。質問するのも怖くて、わかったフリをする。それが積み重なって、毎日がつらくなる。
- 「自分はできない」と思い込む。まわりの先輩がスラスラ作業しているのを見て、「自分には向いてない」と勘違いする。本当は、先輩も最初は同じだっただけなのに。
- 何を勉強すればいいか、わからない。家に帰っても、何から手をつければいいか見当がつかない。だから何もしない。半年たっても、入った日と同じ自分のまま。気持ちだけ焦る。
逆に言えば、この3つを最初の3ヶ月でつぶせば、続けられる。辞めずに続けられた人だけが、1年後・3年後に単価を上げていける。だから、最初の3ヶ月が全部なんだ。
最初の3ヶ月でやるべきこと、3つだけ
あれもこれもやろうとすると、全部中途半端になって潰れる。だから3つに絞った。この3つだけを、まずやればいい。
その1:手を動かす量で、信頼を取る
未経験のうちは、知識では先輩に勝てない。当たり前だ。じゃあ何で評価してもらうか。「動く量」と「素直さ」だ。これは知識ゼロでも、今日から出せる。
たとえば、こういうことだ。頼まれた作業は、すぐやる。やったら「終わりました、次は何をしましょうか」と自分から聞きにいく。わからない言葉が出たら、その場でメモして、家で調べる。これだけで、先輩からの見られ方が変わる。
俺が現場で「こいつは伸びるな」と思った後輩は、全員これができていた。逆に、頼まれたことだけやって、終わったら黙ってスマホを見ている奴は、半年で消えた。能力じゃない。「前のめりかどうか」を、先輩は毎日見ている。
その2:現場で覚える。参考書だけで覚えようとしない
未経験の人がよくやる失敗が、「まず本を全部読んでから動こう」とすることだ。気持ちはわかる。でも、それだと一生スタートできない。ITは、本を読むより、実物を触ったほうが100倍はやく覚える。
たとえばネットワークの設定。本で「IPアドレス」の説明を10回読んでもピンとこなかったのに、現場で実際に機器に設定を打ち込んで、画面に「通信OK」と出た瞬間、一気にわかる。「あ、これがさっき本に書いてあったやつか」と、本と現実がつながる。
だから、こうする。昼は現場で実物を触る。夜に、その日わからなかった言葉を本で確認する。この順番だ。本が先じゃない。現場が先で、本は答え合わせ。この順番にするだけで、覚える速さが何倍も変わる。
その3:資格の勉強を、現場と並走させる
3つ目は、資格だ。ただし「資格を取ってから現場に出よう」じゃない。現場に出ながら、同時に勉強する。並走させるのがコツだ。
俺が最初に取ったのは、CCNA(ネットワークの入門資格)。参考書は¥3,800の黒本1冊。現場でルーターやスイッチ(通信をつなぐ機器)を触りながら、夜に黒本を読んだ。すると、本に書いてあることと、昼に触った機器が、頭の中でつながる。だから理解がはやいし、忘れない。
資格は、中卒・未経験にとって特別な武器だ。学歴の壁を、物理的に飛び越えられる。「大卒以上」と書かれた壁を、「CCNA持ってます」の1枚で迂回できる。しかも、資格は単価に直結する。同じ作業をしていても、資格があるかないかで、もらえる金額が変わってくる。俺はこれで、派遣のまま単価を上げていった。
勘違いしてほしくないのは、資格は正社員になる切符じゃないということ。あくまで「派遣の単価を上げる武器」だ。でも、未経験の最初の3ヶ月で1個目の資格に向けて動き出せると、その後の伸び方がまったく変わる。
続く人と、辞める人の決定的な差
最後に、いちばん大事な話をする。続く人と辞める人の差は、頭の良さでも、学歴でもない。たった1つ、「わからないことを、わからないと言えるか」だ。
辞めていく人は、わからないことを隠す。「こんなことも知らないのか」と思われるのが怖くて、わかったフリをする。でも、ITの現場は、わかったフリが一番きらわれる。なぜなら、わかったフリで作業を進めると、大きな事故につながるからだ。サーバを1個止めるだけで、何万人の通信が止まることもある世界だ。
逆に続く人は、平気でこう言う。「すみません、それわからないので教えてください」。最初は勇気がいる。でも、これを言える人は、先輩からかわいがられる。教えてもらえるから、伸びる。伸びるから、続けられる。「知らないと言える素直さ」が、最強の生存スキルなんだ。
俺自身、中卒で言葉も何も知らないところから始めた。最初の頃は、わからないことだらけで、毎日が冷や汗だった。でも、わからないことを正直に聞き続けたから、ここまで来られた。頭が良かったわけじゃない。素直に聞いて、手を動かし続けた。それだけだ。
そもそも「入り口」で迷っているなら
ここまでは「IT転職に成功した後」の話をしてきた。でも、もしあなたがまだ入り口で迷っているなら——「未経験で、どこから入ればいいかわからない」なら、まずそこを片づけよう。
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